2015年09月06日

ぶらり、BMW X3に乗って越後の酒蔵を廻ってきた【後編】

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北陸自動車道・柏崎ICを降りて柏崎の中心市街へ。

「中越」地域の酒蔵巡りへと移ります。

柏崎は近年、柏崎刈羽原発でその名が知られていますが、もともとは北国街道の宿場町として、また北前船による海運の町として栄えた町です。

そしてまだ記憶にある方もいるかと思いますが、2007年7月16日に起きた中越沖地震。

この地震によって多くの酒蔵が被害を受け、中には廃業を余儀なくされた蔵もいくつかあります。

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当時、毎日のようにテレビ報道で流れた、倒壊した酒蔵の映像。
それが新潟を代表する大手酒蔵の原酒造です。

『越の誉』を醸す原酒造の創業は江戸時代後期の文化11年(1814)。

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中越沖地震で倒壊した酒蔵は、平成22年(2010)に新蔵である和醸蔵が完成。続いて蔵元直売所である酒彩館の完成をもって再スタートしました。

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『越の誉』
醸造元:原酒造株式会社
URL:http://www.harashuzou.com/
住所:新潟県柏崎市新橋5番12号
電話:0257-23-6221
創業:文化11年(1814)

さて、柏崎中心市街の来た道を戻り、国道252号線を内陸部へ向けて走ります。

刈羽郡は平野の少ない山間地域となります。

原酒造から約7km。
北陸自動車道・柏崎ICから約3km。

JR信越本線・安田駅の近くに阿部酒造はあります。

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京都の石清水八幡宮の別称「男山」を起源とする『男山』ブランドは最初にその銘を名乗った酒蔵から紆余曲折を経て全国にその銘が広がり、各地の『男山』はその地域名を冠するようになりました。

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阿部酒造は新潟の『男山』である『越乃男山』を醸す蔵で、江戸時代後期の文化元年(1804)創業。

最近は先代が立ち上げた新ブランド『阿部』に続く『あべ』を展開しています。


『越乃男山』
醸造元:阿部酒造株式会社
URL:http://www.abesyuzou.jp/
住所:新潟県柏崎市安田3560
電話:0257-22-4317
創業:文化元年(1804)


阿部酒造から約6km。

国道252号線と県道25号柿崎小国線が合流する近くに蔵を構える林酒造場。
法人化していない小さな酒蔵ですが、創業は明治43年(1910)です。

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蔵の主力ブランドは『杉の露』ですが、『八石』という銘の酒も販売しています。
種類は合わせても3〜4種類。

『八石』は蔵の裏手にそびえる長岡市との境界でもある標高518mの小さな山ですが、その山嶺は大仏が寝ているように見えます。さらに標高は低いですが不動滝(ふどうたき)、屏風滝(びょうぶたき)、十三ケ滝(じゅうさがたき)といった名瀑(めいばく)がこの山にはあります。

『杉の露』
醸造元:林酒造場
URL:なし
住所:新潟県柏崎市大字与板1242-1
電話:0257-27-2106
創業:明治43年(1910)


さて次の酒蔵までは少し距離があります。

約12km山中に分け入った高柳という小さな山里の町にある小さな酒蔵。

旧・刈羽郡高柳町は2005年に柏崎市に編入されましたが、実は何度も訪れている地です。

わたし自身の「古い町並み・集落・日本の原風景」探しの旅の原点ともなった場所の一つ。

その町の入り口に酒蔵がありました。

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『姫の井』を醸す石塚酒造は大正元年(1912)に高柳酒造場として創業。
モチ米四段仕込みによる酒造りを行い「濃厚辛口」の酒を醸す蔵として知られています。

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『姫の井』
醸造元:石塚酒造株式会社
URL:http://www.himenoi.com/
住所:新潟県柏崎市高柳町岡野町1820-2
電話:0257-41-2004
創業:大正元年(1912)


この高柳町の中心部から約10分の場所に「荻ノ島環状集落」という名の集落があります。

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「環状集落」」

日照が限られた山中において、その太陽を田畑に優先して居住者の家は田畑を囲むように形成された集落。
そしてその多くが今もなお茅葺き屋根の家が点在する貴重な財産。

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現在は40軒ほどの小さな小さな集落です。

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過疎化と合わせてその維持が大変な茅葺き民家は現在10軒ほど。

日本の原風景、日本の文化遺産がそこにありました。

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居住者も減り、民家の多くが茅をトタンで覆うようになったという噂を耳にしていましたが、今回訪れてその姿が、しかし以前とほとんど変わりの無い事に感動しました。

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さて、時間も無いので先に進みます。

柏崎市郊外の阿部酒造まで来た道を戻り、蔵の前の分岐から北東へ長岡市を目指します。

次ぎの酒蔵までの距離は約33km。
山間に開けた平野部を縫うように走ります。

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長岡市郊外の大積町にある栃倉酒造は『米百俵』を醸す明治37年(1904)創業の蔵。

酒銘の『米百俵』は有名な一説。

長岡藩の大参事小林虎三郎が説いた「百俵の米も、食えばたちまちなくなるが、教育にあてれば明日の一万、百万俵となる」の「米百俵の精神」に由来。
この米百俵の売却金によって開校したのが「国漢学校」。

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『米百俵』
醸造元:栃倉酒造株式会社
URL:なし
住所:新潟県長岡市大積町1丁目乙274-3
電話:0258-46-2205
創業:明治37年(1904)

栃倉酒造から長岡市の市街地へ向けて約5km。
北陸自動車道と関越自動車道が合流する長岡JCTの西側に位置する関原町という町があります。

城下町長岡に発して妙法寺峠を越えて出雲崎に至るこの「長岡街道」は、比較的雪が少なかったこともあって、北国街道と、三国街道を結ぶバイパスとなり、関原町はその街道沿いに発達した要衝の町でした。

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長岡街道沿いに蔵を構え『群亀』の銘を醸す関原酒造は江戸時代中期の享保元年(1716)創業の老舗。

その前身は常陸国(茨城県)の庄屋がこの地に移り住んで創業した「常陸屋」を外川家が引き継ぎ外川酒造店に。大正末期には北海道に進出し、釧路市住吉町に敷島酒造合名会社を設立。昭和15年には中国大陸にも進出していました。昭和10年に外川酒造店から改組し関原酒造として今に至ります。

戦前は大きな酒蔵でしたが、現在は少量生産の蔵となっています。
この関原酒造も中越沖地震で深刻な被害を受けましたが、新蔵を建てて再出発しました。

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『群亀』
醸造元:関原酒造株式会社
URL:http://www.sake-sekihara.com/
住所:新潟県長岡市関原町1-1029-1
電話:0258-46-2010
創業:享保元年(1716)


さて、長岡市中心部及びその周辺には数多くの酒蔵がありますが、今回は時間的な問題から割愛して北上します。

次ぎの酒蔵まで距離にして約6km。

西山連山の麓に位置する旧三島郡三島町。
2005年に長岡市に編入されたこの町には3軒の酒蔵があります。

しかもその3軒の酒蔵は吉崎地区に集まっています。

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最初の酒蔵は住乃井酒造。

江戸時代中期の宝暦8年(1758)に創業。
酒銘の『住乃井』は「よい水の周りには人が住む」という意味。
3軒の酒蔵の中で一番古い歴史を持つ蔵。

が、見当たらない。

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以前は長岡のフィルムコミッションにも登録されていた、大規模な木造蔵があったのだが、広大な更地しか無い。

その更地に入ってみると「住乃井酒造」の看板を掲げた小さなプレハブが...。

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住乃井酒造も中越沖地震で深刻な被害を受け、日本酒不況の中でオーナーが何社も変わり...

蔵は取り壊してしまったとか。
現在は日本・ベトナム・タイで酒類・食品製造を行う山梨県の田中屋グループで、タイに本社を置く総合酒類食品グループ・アサンサービスの傘下で日本酒の他、みりんやワイン、リキュール酒などを製造しています。

社名にもある『住乃井』の他、最近では吟醸古酒の新しいブランド『笑満壽』(わらいます)を展開しています。

『住乃井』
醸造元:住乃井酒造株式会社
URL:http://www.suminoi.com/
住所:新潟県長岡市吉崎581-1
電話:0258-42-2229
創業:宝暦8年(1758)

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次ぎは集落のメインストリートから平行する1本山側の細い通りに。

『越乃白雁』を醸す中川酒造の創業は明治21年(1888)ですが、老舗らしい伝統的な佇まいの蔵が残っていてちょっと感動。

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『越乃白雁』
醸造元:中川酒造株式会社
URL:なし
住所:新潟県長岡市脇野町2011番地
電話:0258-42-2707
創業:明治21年(1888)


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ふたたび集落のメインストリートへ。
『想天坊』を醸す河忠酒造は江戸時代中期の明和2年(1765)創業の老舗。
酒銘の『想天坊』とは三島の昔話に出てくる伝説の山に由来。

『想天坊』
醸造元:河忠酒造株式会社
URL:http://www.soutenbou.jp/
住所:新潟県長岡市脇野町1677
電話:0258-42-2405
創業:明和2年(1765)

まだこの時期、日は長いですが夕方が近づいてきました。

ここからさらに15kmほど北上して旧・三島郡和島村へ。
ここも今は長岡市。

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この和島村には知る人ぞ知る有名な酒蔵が2軒あります。

まずは両高地区にある池浦酒造。

創業は江戸時代後期の天保元年(1830)で、代々庄屋を務めた旧家です。

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酒銘の『和楽互尊』は長岡の哲学者、野本互尊翁(野本恭八郎)が説いた「我人独尊皆互尊(われひとどくそんみなごそん)」の精神に共鳴し、時の漢学者安岡正篤の助言を得て生まれたもの。
「和楽互尊」(互いに尊びあえば和やかで楽し)の意。

『和楽互尊』
醸造元:池浦酒造株式会社
URL:http://ikeura-shuzo.com
住所:新潟県長岡市両高1538
電話:0258-74-3141
創業:天保元年(1830)

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池浦酒造から約3kmほど離れた小島谷地区に構える久須美酒造。

創業は江戸時代後期の天保4年(1833)で『清泉』の酒銘が主力ですが最近は『亀の翁』で知られる蔵。

幻の米亀の尾(かめのお)の種もみを探し出し、地元農家を説き伏せて有機栽培して銘酒亀の翁(かめのお)を誕生させた逸話が「夏子の酒」のモデルとなった酒蔵でもあります。


『清泉』
醸造元:久須美酒造株式会社
URL:http://ikeura-shuzo.com
住所:新潟県長岡市小島谷1537-2
電話:0258-74-3101
創業:天保4年(1833)


ここは以前にも訪れています。

以上をもって今回の酒蔵巡りは終了。

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結構ハードな1日でしたが、久々のドライブを堪能できました。

車の返却があるので、帰りの渋滞を見越して早めの離脱。

長岡市街までひたすら南下して、長岡ICから関越自動車道で家路へ。

「ぶらり、BMW X3に乗って越後の酒蔵を廻ってきた」

おしまい。



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