2016年09月04日
ぶらり、ジャガーXFに乗って山形の酒蔵を廻ってきた【最終話】
いよいよ最終話です。
山形県最北端の町・遊佐町から海沿いの国道7号線で南下します。
そして酒田市の中心市街へ。
酒田は山形県の日本海に面した人口約11万人の都市で、山形県唯一の重要港湾酒田港があり中世から貿易港として発展した町です。
北前船の西廻り航路が整備された江戸時代には栄華を極め、「西の堺、東の酒田」とも称されていました。
この酒田は戦後の農地改革まで日本一の大地主だった本間家などの豪商を筆頭に三十六人衆という豪商による自治組織によって運営されていたことでも知られています。
そんな酒田の町には当然酒蔵が多く…あるはずですが、現在市内中心部に蔵を構えるのはこの酒田酒造の一軒のみ。しかも創業は昭和21年(1946)と若いのですが、これは江戸時代より続いた酒田の酒蔵、男山・養老・藤屋・千里井・玉の川の5つの蔵元が昭和21年に合併して生まれた新しい蔵だからです。
合併の中心となった「橋本酒造場」は江戸時代後期の弘化元年(1844)の創業です。
酒名の『上喜元』は”上質な喜びを生む源になる”という意味を込めたもの。
蔵元は佐藤氏。
『上喜元』
醸造元:酒田酒造株式会社
URL:なし
住所:山形県酒田市日吉町2-3-25
電話:0234-22-1541
創業:昭和21年(1946年)
酒田市の中心市街を抜け、海岸沿いを走る国道122号線を南下します。
かつて酒田の中心部に蔵を構えていた酒蔵は、戦時中の企業統制令などで合併し、郊外に移転していました。
酒田市中心市街から最上川を渡った砂丘地帯の台地上の工業団地の一角に建つ東北銘醸もその一つ。
銘酒『初孫』の東北銘醸は山形県の庄内地方で最も大きな酒蔵。
代々酒田の港町で回船問屋を営んでいた金谷商店の佐藤久吉氏が、明治26年(1893)に酒田港近くの本町で酒造業を創業。酒銘は屋号と蔵元の名を略した『金久(きんきゅう)』。
物流が船から汽車に変わることで、回船業は衰退、酒造業がメインになりました。
平成6年に最上川の南の十里塚地区に近代的設備の新工場を建設して移転します。
酒銘の『初孫』は昭和のはじめに佐藤久吉氏に初孫が誕生した際に、みんなに愛され喜ばれる酒にしたいと命名。
大きな工場ですが、敷地内に資料館と直売所があります。
蔵元は佐藤氏。
『初孫』
醸造元:東北銘醸株式会社
URL:http://www.hatsumago.co.jp/
住所:山形県酒田市大字十里塚字村東山125-3
電話:0234-31-1515
創業:明治26年(1893)
日本海に流れる赤川の右岸、日本海東北自動車道近くの小高い丘にあたる黒森地区に年間3000石を生産する菊勇があります。
前身の菊勇酒造は明治30年(1897)の創業ですが、ほていや酒造店・舞鶴田中酒造店など3社4蔵が昭和48年(1973)に合併したのが現在の菊勇です。
蔵元は佐藤氏。
『菊勇』
醸造元:菊勇株式会社
URL:http://www.kikuisami.co.jp/index.html
住所: 山形県酒田市黒森字葭葉山650
電話:0234-92-2323
創業:昭和48年(1973)
庄内空港の手前の砂丘地域に浜中という集落があります。
国道沿いに蔵を構えるオードヴィ庄内。
近代的な酒造メーカーを想像していたので、蔵の前を通り過ぎてしまい、Uターン。
町の小さな酒屋さん...っていうか「クリーニング店」かと思ったお店が酒蔵・オードヴィ庄内でした。
もとは「藤屋」の屋号で味噌屋をしていた佐藤亦助(またすけ)氏が明治8年(1875)に酒造業を創業。
平成7年に法人化した際、社名を「株式会社オードヴィ庄内」に変更します。
オードヴィ(Eau-de-Vie)とはフランス語で「命の水」という意味。
『清泉川』という酒銘にもあるように良質な泉が蔵のルーツである事と、今後は日本酒だけでなく葡萄、梨など庄内の果実を用いたワインやリキュールも造っていきたかった事からこの名前にしたそうです。
蔵元は佐藤氏。
『清泉川』
醸造元:株式会社オードヴィー庄内
URL:http://kiyoizumigawa.com/
住所:山形県酒田市大字浜中乙123
電話:0234-92-2046
創業:明治8年(1875)
庄内空港の下をくぐり、しばらく走ると海岸線とは別れを告げ、内陸部へ。
酒田とならぶ庄内地方南部の都市、鶴岡市に入ります。
鶴岡市は人口約13万人の都市で江戸時代には庄内藩(鶴岡藩)17万石の城下町として栄えた町です。
平成の大合併では藤島町、羽黒町、櫛引町、朝日村、温海町の4町1村と合併して東北地方最大面積の町となりました。
城下町鶴岡の中心部へは行かず、その手前の大山という町を目指します。
大山はかつて「東北の小灘」と称された酒どころで、最盛期には40軒以上もの酒蔵がありましたが、現在も4軒の酒蔵があります。
羽越街道が南北に通り、鶴岡城下と港町加茂を結ぶ大山街道等が交差する交通の要衝で、大山は江戸時代、「天領」の町として発展しました。
大山で一番大きな酒蔵である加藤嘉八郎酒造は、戦国武将「加藤清正」の一族をルーツにもつ家柄で、大山には加藤治右衛門家という加藤家の本家があります。
明治5年(1872)に加藤長三郎家から分家した加藤嘉八郎と有元氏によって創業した加藤嘉八郎酒造は、すぐ隣にある酒蔵、冨士酒造とも親戚関係です。
現在4蔵が残る大山の酒蔵の中でも、最も歴史が新しい蔵ですが、初代にして大山で一番大きな酒蔵となり、近代的な設備で安定したお酒を造ります。
『大山』
醸造元:加藤嘉八郎酒造 株式会社
URL:http://katokahachiro.web.fc2.com/
住所:山形県鶴岡市大山三丁目1-38
電話:0235-33-2008
創業:明治5年(1872)
同じく加藤家の冨士酒造は江戸時代中期の安永7年(1778)にこの地で庄屋を営んでいた加藤専之助有恒氏によって創業した酒蔵です。
創業当時の屋号は『加茂屋』で酒銘は今と同じ『冨士』でした。
文化財級の重厚な建物は、まさに旧家の佇まいです。
映画やドラマのロケでも使われたことがあります。
『栄光冨士』
醸造元:冨士酒造株式会社
URL:http://www.e-sakenom.com/
住所:山形県鶴岡市大山3-32-48
電話:0235-33-3200
創業:安永7年(1778)
大山の酒蔵の残り2軒は、国道を越えた大山川近くにあります。
『出羽ノ雪』の渡會本店の創業者、渡會(わたらい)新右衛門氏の祖先は、伊勢国(三重県)の度会郡(わたらいぐん)よりこの地に移住してきたそうです。
創業当時の屋号は『橘屋』で、銘柄は『志ら雪』『八薫』『冨士正宗』といったもの。
しかし明治になって他社との商標が重なるという問題が現れ、主力銘柄だった『志ら雪』を他社が先に商標登録してしまった為に、現在の銘柄『出羽の雪』になりました。
酒蔵資料館も併設しています。
『出羽ノ雪』
醸造元:株式会社渡會本店
URL:http://www.net.sfsi.co.jp/watarai/
住所:山形県鶴岡市大山2-2-8
電話:0235-33-3262
創業:元和年間(1615〜24)
渡會本店の斜向かいに蔵を構える羽根田酒造は近江商人をルーツとする羽根田興治兵衛氏(はねだよじべい)によって文禄元年(1592)に創業しました。
豊臣秀吉が没する6年前、山形県で最も歴史が古い酒蔵です。
創業当時の酒銘は『白梅』、平成3年に現在の『羽前白梅』に改称しました。
冷酒がコンセプトの新シリーズ『俵雪』(たわらゆき)など、現在はラインナップの大半が生酒です。
『羽前白梅』
醸造元:羽根田酒造 株式会社
URL:なし
住所:山形県鶴岡市大山二丁目1-15
電話:0235-33-2058
創業:文禄元年(1592)
大山から鶴岡市の中心市街を抜けて、国道122号線を南下します。
平成の大合併で鶴岡市の一部となった旧東田川郡櫛引町に『奥羽自慢』というお酒を造る1軒の酒蔵があります。
醸造元の佐藤仁左衛門酒造場は、江戸時代中期の亨保9年(1724)の創業。
手入れの行き届いた茅葺き屋根の母屋が特徴の小さな酒蔵でしたが、訪ねるとお酒の直売は行っておらず、取り扱っている酒屋を教えてもらいました。
そのお店は鶴岡市の中心市街近くにある為、再び北上。
お店を訪ねると、なんと佐藤仁左衛門酒造場は廃業したと言うではありませんか。
う〜ん。なんか腑に落ちません。
しかも、立派なHPがあることも、豊富なラインナップがある事も知っていました。
店を出てサイトを調べてみると、ある事に気がつきました。
会社名が「奥羽自慢酒造」となっているではないですか。
実は佐藤仁左衛門酒造場は後継者不足と経営難から休業状態にあったそうです。しかし、楯の川酒造のバックアップによってかつての蔵人を呼び戻し、さらに楯の川酒造蔵人を派遣して新会社を設立したそうです。
そして流通を特約店に限定して特定名称酒をこつこつと造っているのです。
東京でも『奥羽自慢』を取り扱っているお店がいくつかあります。
『奥羽自慢』
醸造元:奥羽自慢株式会社(佐藤二右衛門酒造場)
URL:http://oujiman.jp/
住所:山形県鶴岡市上山添字神明前123
電話:0235-57-2095
創業:1724年(亨保9年)
2013年「奥羽自慢株式会社」として再出発。
さて、山形の酒蔵めぐりも最後になってきました。
次ぎの町は東北の霊場として名高い出羽三山の1つ羽黒山。その門前町として栄えた旧・東田川郡羽黒町を目指します。羽黒町も平成の大合併で鶴岡市の一部となりました。
この羽黒町には2軒の酒蔵があります。
一軒は東京でもすっかり知られるようになった『白露垂珠』(はくろすいしゅ)の竹の露合資会社、そしてもう一軒は山形を代表する銘酒となった『くどき上手』の亀の井酒造です。
まず最初の竹の露合資会社。
実は日本酒に目覚めた20年ほど昔に、このお酒の存在を知って都内で取り扱っているお店を探して買って飲んだことがありました。
そして、東北山形旅行の際に一度立ち寄った事がありました。
小さな酒造場のようなイメージでした。
田園地帯(田んぼ)の中に蔵を構える竹の露合資会社は、十数年ぶりに訪れてみると、結構大きな工場で驚きました。
竹の露合資会社は幕末の安政の大獄が起きた1年前の安政5年(1858)に、この地の地主であった金野岩治氏によって創業されました。蔵の周囲に竹林があった事から、何時の頃からか『竹の露』という酒銘を使うようになったそうです。
『白露垂珠』
醸造元:竹の露合資会社
URL:http://www.takenotsuyu.com/
住所:山形県鶴岡市羽黒町猪俣新田字田屋前133
電話:0235-62-2209
創業:安政5年(1858)
次ぎの亀の井酒造も田園地帯(田んぼ)の中にあります。
こちらは近代的な工場、倉庫、社屋でした。
亀の井酒造はこの地で中農規模の農家に生まれた今井亀治氏によって明治8年(1875)に創業しました。屋号は「泉谷」で、創業当時の酒銘は『前川』だったそうです。
戦時中に一時休業しますが、昭和35年に現在の場所に移転し酒造業を復活させました。
それまでの主力銘柄は『亀の井』でしたが、拡張路線を改め販売店も33店舗に限定した高級酒・少量生産に改めます。そして新しい酒銘『くどき上手』とは、豊臣秀吉は様々な人々を口説き落として出世していった事から「くどき上手」となって出世ができれば、との願いをこめたものだそうです。
『くどき上手』
醸造元:亀の井酒造株式会社
URL:なし
住所:山形県鶴岡市羽黒町戸野字福ノ内1
電話:0235-62-2307
創業:明治8年(1875)
これで、今回の山形の酒蔵巡りの旅は終わりとなります。
山形自動車道を目指し、一路東京を目指します。
実は今回の旅では、ただ一軒のみ逃してしまいました。
ルートから大きく離れた新潟県との県境の小国町にある野澤酒造店です。
小国町はJRのローカル線・米坂線でなんども通過している町でもあり、また近いうちに鉄道の旅で立ち寄ってみたいと思います。
『羽前桜川』
醸造元:野澤酒造店
URL:なし
住所:山形県西置賜郡小国町大字小国小坂町213
電話:0238-62-2011
創業:宝永3年(1706年)
さて、最後にジャガーXFの機能紹介で締めくくりといたします。
毎回輸入車...っていいますか、レンタカーで借りる国産車も含めてですがナビの操作に四苦八苦します。
まあ、1日乗っていれば慣れてきますが。
前回のジャガーXEやランドローバー・イヴォークでも、やっぱりナビの操作は今ひとつでした。
もうすっかり成熟した機器なのに、なぜこれほど操作も表示もインターフェイスもバラバラなのでしょうか。
そして、もう少し使いやすい操作感は互いに真似をしてもいいと思うのです。
パソコンやスマホのように。
しかし、まあ、それを置いておいも、とりあえずジャガーXFのナビは使いやすかったです。
酒蔵巡りなどで、最も効率的に目的地検索を行うのに使うのが「電話番号入力」です。
個人宅ではなく、企業であれば膨大な電話帳データに登録されているからです。
最近流行のBMWが始めた(と思う)ジョグダイヤルでの入力よりもテンキー入力が効率的です。
ジャガーXFのナビのタッチパネルは感度もレスポンスも良くストレス無く入力できました。
ただ、市外局番最初の「0」だけはデフォルトでプレ入力していて欲しいですね。
電話帳データ(おそらくNTTタウンページ)に登録があれば、酒蔵名(企業名)が出てきます。
「ここに行く」でルート検索開始です。
今日廻る酒蔵を朝まとめて、入力する事も簡単。
途中で目的地を追加、廻る酒蔵の順番を入れ替えるのも出来ます。
走行中は操作が出来ないのは難点ですが、安全の為に良しとしましょう。
あと、忘れていましたが、メーターパネルです。
ジャガーXFのメーターパネルは全画面液晶です。
(オドメーター部は除く)
各種インフォメーションだけでなく、スピードメーターとタコメーターも画像として表示されているに過ぎません。
これによって、ジャガーXFでは面白い機能があります。
液晶パネルに浮かび上がるバーチャルな3連メーターのデザイン(テーマ)が4つの種類から選ぶ事ができます。
ダイナミックなグラフィックから情報量をギリギリまで省いたシンプルなものまで4タイプ。
さらに、メーターパネルにナビの地図を表示する事もできます。
視線移動が少なくて済みますね。
この場合、地図の下部に速度が小さく表示されます。
地図は基本俯瞰図です。
ハンドル越しで見るとこんな感じです。
以上。
ぶらり、ジャガーXFに乗って山形の酒蔵を廻ってきた。
おしまいです。
山形の酒蔵。各蔵の地酒の紹介と感想はこちら「一路一会のぶらり、地酒日記」。
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