ほぼ、全国のJRローカル線は制覇したので(北海道を除く)、あとはボチボチ旧国鉄は第三セクターの路線をぶらりと残すところで。
前々から乗車を夢見ていた岐阜県の明知鉄道に、ついに乗ることができた。
明知鉄道はJR中央本線の恵那駅と明智駅間の25.1kmを結ぶ、ローカルの盲腸線です。
恵那駅の改札口で終点明智駅との往復キップを買う。
駅員のおじさんは、帰路に名古屋方面へ抜けるなら、明智駅から瑞浪駅までバスが出ているという。なんという商売っ気の無さであろうか。
さらに、乗車キップを記念にするなら、終点の明智駅で少し上質なキップを買えるとのこと。
まさに、アットホームなカスタマーサティスファクションである。
せっかくの申し出でしたが、キップ収集の趣味は無いので、機械券売意識のまるで「渡船」のキップのようなキップを購入してホームで待った。
やってきたのは、アケチ10型気動車。富士重工業製で、セミクロスシートのはずだったが、なんとオールロングシート車だった。
まだ、新しくキレイな車両である。カーテンの結びに注目。
明知駅を出発した列車は、ひたすらエンジンをフルスロットルで回し続けながら走っていく。列車に乗っているとあまり気がつかないが、結構な勾配を登って行っているのだ。
明知線は全線わずか25kmあまりの区間で、2つの峠を越えるという急勾配と急曲線の連続する路線で、この先の飯沼駅と野志駅は、日本で第1位と第2位を誇る急勾配駅らしいのである。
33パーミルの勾配を駆け上っていくアケチ10号。現在もレールに砂を撒いているのかな?
良い感じに小雨と霧が出てきた。
トンネルを抜ける度に深山幽谷に入っていく。
途中の駅駅に、廃車となったアケチ1号が留置(放置?)されている。これが”かの有名な”レールバスなのか。
動態保存されている腕木式信号機。知らない人は気がつかずに通り過ぎてしまう代物。
かつては、この信号機とタブレット交換によって、単線の行き違い閉塞が行われていました。
タブレットって?という方はウィキってください。
花白駅。駅前に日帰り温泉がある。なにか見覚えがあるぞ。
そう、今回この明知鉄道に乗ったのも、実はこのあたりは非常に思い入れの深い地域なのである。
中世の城下町にして、中馬街道の宿場町であもある岩村。
そして、この鉄道の終点であり、中馬街道をはじめ諸街道の集まる要衝として栄え、今も明治・大正期の町並みが残る、明智。
さらにいくつか山を越えると、紅葉の名所「香嵐渓」で知られる三州街道の宿場町・足助。などなど。
かつては何度も車で行き来し、途中の道中で夜を過ごし、そしてこの花白温泉で汗をながした事もあったのだ。
まさか、駅のそばにあったとは。
最後の山を越えると、ひたすら山間平野に向けて列車は下っていく。明智の市街を周回しながら、終点の明智駅。
明智駅は明知鉄道の本社と車庫がある。町名である「明智」に合わせた駅名で、会社名の明知鉄道と「智」の字が違う。
この列車はここまま折り返すという事で、運転手さんの許可を取って、荷物を車内に置いて、ひさびさの明智の町を散策する。
もう3回目ほどだと思ったが、これほどミニマムな町だとは思いませんでした。
駅の改札の横には、全駅のキップと、明知鉄道せんべいが売っていました。千葉の銚子電鉄を参考にしたのでしょうか。「おらが鉄道せんべい」こちらは甘いソフトなせんべいです。4種類くらいあったかな?
面白いものと「ひまわりシナモン」と「かぼちゃの種」入りを買って帰りました。
人気高騰で、品切れ続出とか。赤字解消に一役かってよかったです。
国鉄明知線は当初の計画で、この先さらに延伸して、武節で挙母方面から来る路線と合流して、現在の飯田線に接続する予定だったとか。
しかし、山間に開けたこの小さな町で終点というのも、良かったのかも知れません。盲腸線の多くの終点駅は、周囲に集落も無いような寂れた場所にある場合が多いからです。
そして、折り返しの時間が来ました。省エネ&エコでしょうか?発車の直前までアイドリングはしません。もちろん冷房も止まっています。
車内はサウナのようでした。
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