電話があったのは木曜の夜だった。
珍しく父から、日帰り撮影旅の誘いであった。
目的地はどうやら奥日光にある、雪と氷が織りなす大自然が造りだした造形美。氷瀑の撮影らしい。しかも、その日は栃木県警による降下訓練もあるらしい。
なかなかフォトジェニック(写真向き)な素材ではないか。
今年は正月休み以来、雪を堪能するような雪国への旅はまだ行っていない。なので、これは降って湧いたチャンス。
二つ返事でOKしました。
しかし、その後の父の言葉が....
父「アイゼンやピックルは用意する」
わたし「は?」
ど、どない所へいくねん。
とりあえず、行くと言った以上、打ち合わせを先に進める。
わたし「こちらは、どんな装備でいったらいい」
父「まあ、マイナス10度前後くらいは備えた方が良いな」
わたし「はあ...」
まあ、かつて真冬の雪の中での車中泊は毎年行っていましたし、中には氷点下30度の世界で車中泊した経験もあるので、冬ウェアの類は、それなりのものは持っているものの、冬山登山、沢登り等の経験はほとんどありません。
じっと車内で丸まって眠るのとは違い、激しい運動を伴う登山(こんかいはトレッキングのレベル)では、自転車以上にレイア−コーディネートを考えなくてはいけません。
とりあえず、行き先も聞かないまま電話を切ったものの、「栃木県警の降下訓練」という一言を頼りにネットで検索をして、おおよそその場所がつかめました。
その場所は「雲竜渓谷」
栃木県は日光東照宮のお膝元、日光の中心部から稲荷川を約8キロ上流、約標高1400mの場所にある「氷の世界」で知られる渓谷らしいのです。
氷の成長は1月末から2月の頭までがピークらしく、まさに今回はその日なのです。
栃木県警の降下訓練も毎年ほぼ同じ時期1月30日前後に行われています。
金曜日の夜に父と合流して、日光へ高速道路を走ります。
日光市内へは23:30頃に到着しましたが、翌日の食料の購入とトイレ等を考慮して、山道に最も近いコンビニの駐車場で一夜を明かすことに。
なお、渓谷への一般車の立ち入りは出来ず、ゲート周辺の駐車は6〜8台程度しか無いという情報を得ていたので、ゲートが開く朝の6時前に現地入りする事にしました。
朝、5時すぎに起床し、軽く朝食を摂って、ゲート入口には5時半ごろに到着。すでに駐車スペースは満車で、かろうじて端っこに駐車する事ができました。
山登りの準備と、アイゼンなどの登山装備の装着練習をして、6時と共に栃木県警が到着。ゲートの開門と共に入山しました。真っ暗な雪道をLEDヘッドライトで照らしながら登っていきます。
歩き出して30分、後方から朝陽が昇ってきます。
しばらくは、アスファルト舗装された林道で積雪量もほとんどなく、パウダースノー状態なので、歩きづらいアイゼンは外しました。
しばらくして、「一般車通行禁止」であるこの林道を数台の自動車の一行7〜8台が横を通り過ぎていった。
前後は栃木県警のパジェロ・パトカー、あとは救助訓練のスタッフとマスコミ関係の車でしょうか。
父の話では、徒歩1時間半くらいの行程と聞いていたが、すでに1時間が過ぎているものの、一向に先が見えてこない。
林道と先に登ったパーティーの足跡は果てしなく続く。
しばらくして、また後方から車が登ってくる音が。
タクシーである。タクシーはこの林道に入ってこれるのか?それともマスコミ関係者?
上り坂がようやく水平になって、しばらく歩くと前方に先ほど我々を抜いていった栃木県警一行の車が見えてきました。
「つ、ついた〜!!」(日向砂防ダム展望台・第1ポイントだけど...)
さて、ここから道は2つ。
沢に降りて歩くAコースとさらに続く林道を歩いていくBコース。
沢沿いのコースはアップダウンや、足場が悪く狭い場所もあって、少々危険は伴うものの、ショートカットのルートで、林道コースは、さらに山を一つ越えて大きく迂回して、相当歩くようです。
一般的には皆沢沿いのAコースを進むらしいので、われられもそれに習います。
と、いうか、そろそろ違ったシーンを歩いて見たい、林道はもう飽きたというのが本音。
幻想的な雪の造形が広がるものの、結構大変そう。
しかしそれなりの装備を持ってきたので、それを使わないのも勿体ない。
と、いうインプレ病がここでも出てきました。
アイゼンを装着して、沢へと降りていきます。
太陽が昇ってくると、段々暑くなってきました。
これは、やっぱり東京の方が寒いぞ。
コースには赤いリボンなどで目印が振ってあります。
パウダースノーで、先に進んだ一行が踏みしめた雪跡を追って進むので、歩きやすく迷うこともなく、約30分ほどで第2ポイントの展望台に到着しました。
やっぱり、沢歩きコースの方が楽しいです。
オークリーの調光レンズ(度入り)も、最近すっかり手放す事の出来ないアイテムとなりました。
紫外線で色が濃くなるので、雪の中では相当に濃いサングラスになりました。
雪の乱反射をカットし、さらにハイコントラストで、雪の形がハッキリと立体的に見えるので、相当に雪中行軍が楽になりました。
今回、雪の沢道をホイホイと歩けたのも、この調光レンズのおかげでしたね。
途中の道中はコンデジのPowerShotS90で撮影していましたが、ここまで来ると寒さもほとんどなく、足場も安定してきているので、リュックから一眼レフを取り出します。
EOS 5Dはしばらく父に貸しているので、わたしは昨年末からサブ機のEOS 60Dを使用しています。
風景写真はフルサイズよりもAPS-Cの方が被写界深度が深くて、しかも軽くてコンパクトなので結構EOS 60Dの方がお気に入りです。
イッツ、スモールワールド
大自然の芸術ですね。
岩から染み出る湧き水がすこしづつ時間を掛けて凍ったものでしょうか?
まさに「竜の牙」ですね。
今年は気温が高く、ここ数日の急な寒波で凍ったようで、今年の氷は密度がもろくてバリバリと音を立てて崩落が始まっていました。
肝心の栃木県警の氷壁効果訓練は...本格的な登山装備が無いと先に進めなかったので、今回はパスしました。
下山した後、光市内の温泉に直行。
明日から筋肉痛に襲われるでしょうが、本当に来てよかったです。
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氷の大自然、お父様だと思いますが、人と一緒の写真の、そのスケール感に圧倒されます!!