2014年01月03日

ぶらり、今年の年末年始は初めて沖縄に来てみました【3日目・後編】

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さて、沖縄本島北端の折り返しです。

の前にせっかく来たので「奥集落」を少し探索。
体も少し休まないとね。

集落歩きで気分もリフレッシュ。

標識を見ると名護まで80kmくらいあるようなので....。

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奥集落は、見た感じ港らしきものも見られませんでしたが、その昔は与論島や奄美方面との往来が盛んな港町だったようで船改めの役人も置かれていたとか。

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経済的には貧しい村でしたが、明治になると後背の山林から得られる木材や砂糖きび、パイナップルなどの栽培農業で人口も増え、最盛期には1,000人を数えたといいます。

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沖縄の民家は台風による被害が激しく、戦後になってからコンクリートの米軍住宅の影響を受けて、ほとんどがコンクリート住宅に建て変わっていますが、この奥集落ではまだまだ伝統的な平屋の建物が多く残っています。

コンクリートのブロック塀や主屋もコンクリートで補強して台風に耐えているのです。

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名護など沖縄北部の集落でよく見る「共同店」は住民が出資して運営されている総合スーパーです。

どんな小さな集落にも1軒はあります。
私がベースにしている名護の宿には、コンビニやスーパーは3km行かないとないのですが、共同店は4〜5軒あって、自炊する食料の買い出しにとても重宝していました。

もっとも、名護近郊であればイオンや地元資本のサンエーなど大手スーパーが進出していますが、まだまだ地元密着の共同店はつぶれずに残っているようでした。

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さて、時間もないので「奥集落」を後にします。

辺戸岬からここに来るのにだいぶ山を下ってきたので、たぶんここからも同じように登っていく事になるだろうと、覚悟はしていましたが、集落の終わりからその坂はすぐに始まりました。

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あせらず、心を落ち着かせて一歩、一歩、ゆっくりと登っていきます。

平均斜度は8〜10%。

あせらない、あせらない。

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会社の仕事といっしょで、一歩、一歩ていねいに。

高度計を見るとあっという間に海抜80mを越えましたが、坂はまだまだ続きます。

が、登ったあとに一気に海面近くまで下ります。

平均斜度8%を海抜80m登って、今度は海岸線近く2mくらいまで下がるを延々繰り返します。

アップダウンという言葉の意味を越えて不毛さを感じます。

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やがて、すこし空腹を感じてきました。

「やばい」

空腹を感じたら遅いのですよね。
このままではハンガーノックになってしまう。

どこかで休憩をして栄養を補給しなければ。食事ではなく栄養の補給。
幸いリュックにはあと2回分くらいの食料やゼリー飲料が残っています。

あとは「景色」の良い休憩ポイントを探すだけ....。

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この期におよんで休憩ポイントの「場所」にこだわっている有様だが、そうなるとなかなか見つからない。

あと、ひと山、あとひとカーブとどんどん先に進んでいくが、体もすこしづつ休憩を欲しはじめてきた。

すると風力発電が見えてきた。

「あ、あそこだ!!」

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おそらく眺めの良い場所で展望パーキングとかあるだろう。

が、無かった。

風力発電の脚もとも極めて何もなかった...。見事に。

やむを得ない。少し広くて海が見えて日が差す道端で休憩だ。

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ゼリー飲料を汁物がわりにあんパンを頰張る。うめ〜。

朝の飲みかけの缶コーヒー。ほっとするな〜。

ちなみにこの風力発電は沖縄新エネ開発の楚洲(そす)風力発電所です。
発電機はドイツのエネルコン社とか。

ああ、精神的に少しリカバった〜。

あとヴァーム(顆粒)を2本飲んでパワーチャージ!!

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そしてこの後すぐに、せっかく稼いだ標高をまだ海抜1mまで下っていきます。

楚洲(そす)地区。通過。

そして再び山に登って行きます。
東海岸は山が海に迫って険しい為に西海岸のように海岸線に道路を造る事ができません。

なので基本的に道路は山の尾根を走りますが、漁港を中心とした集落は海沿いに形成されるので、その都度道は一旦集落まで降りてくるのです。

中には陸の孤島でスルーされる集落もありますが、ほぼこんな感じ。

次の安波(あは)集落はそこそこ大きな集落でした。
ここで少し休憩。

共同店には自販機やトイレも併設されているので助かります。
小さな「道の駅」ですね、まさに。

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朝から走って75km地点。奥集落からはまだ20kmしか進んでいません。

やばい...ちょっともうキツイかも...。


地図を取り出して眺めていると、この安波(あは)集落は国頭村(くにがみそん)の南端だと気がついた。

今回のもう一つの目的地、東村(ひがしそん)まであと一歩の距離だ。
少し力が湧いてきた。

集落の終わりからは急な上り坂が続いて標高80mくらいになると、見晴らしもよくなって平坦な道や、まあそこそこのアップダウンが続きます。

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ヤンバルの原生林。このあたりは...いや2つ前の楚洲(そす)集落の周辺からこの一帯のほとんどは米軍の北部訓練場なのだ。沖縄県では最大の軍事演習場で正式名称は「ジャングル戦闘訓練センター」といい、亜熱帯ジャングル地帯を想定しての訓練が行われる場所です。

まあ、今日は元旦なので静かなものです。
もっとも、この「ジャングル戦闘訓練センター」が最もフル稼動したのはベトナム戦争時でしょう。
実際にこの訓練場ではベトナム戦争当時に模擬演習場「ベトナム村」がつくられ、そこのベトナムの集落には近隣住民をベトナム人に扮させるという行為も行われていたそうです。

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さて、自治体の境界線というのは基本的に山の尾根を境にしているので、この延々続く上り坂のピークがいわば国頭村と東村の村境になるわけです。

なので、ATLAS ASG-CM21の画面を見ていると、あと少しなわけで、少し力が湧いてきました。

ちなみにこの写真の道の両側も米軍演習地です。

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そして、ついに東村に到達したのです。
84km地点です。

奥集落から100kmは優に走ったと思われますが、実際はまだ30kmしか走っていません..orz

しかし、ここから高江集落までは急勾配のアップダウンが続くのですよ。

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そしてやっと高江の表示が現れました。

でも、まだアップダウンは続きます。
高江では目的のお店で昼食をとる予定もあります。(元旦にやっていればの話しですが、まあ厳しいでしょう)

もれでも、一歩一歩ゆっくりと坂を登っていきます。

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するとこの東村高江を一躍有名にした新型輸送機オスプレイのヘリパッド建設工事を反対する住民のゲート封鎖座り込みが目に飛び込んできました。

ドキュメンタリー映画「標的の村」を昨年に見たので、実際の自分がその場所にいる(辿り着いた)事を実感した瞬間。

ゲートは上り坂のピークにあるので、座り込みの人たちに声援を送られながら、ついに到達です。

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まあ、詳細は「標的の村」や「高江ヘリパッド」で検索してみてください。

で、待ってましたの下り坂を下っていくと、見えて来た今回の重要な目的地「カフェ山甌(やまがめ)」の看板。
だけど、元旦...というか、年末年始は長期にお休みとなっていたのです。

残念...

って、事前に調べずに走りまわる事が多すぎ。

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で、その先にあった「茶屋 夢欄(む〜らん)」が、なっなんと元旦に堂々の営業中。

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そして見晴らしの良い東屋のようなテラス席に案内されました。
独特の香りと味のする野草茶が結構クセになる美味しさでお代わりしてしまいました。

あ〜、なんか空気の流れがいいな〜。

しかし目の前に広がる森は米軍の演習地です。この北部訓練場は基本的にフェンスもなにもありません。

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メニューはいろいろある中で、もう沖縄ソバは食べ飽きたので、無性に食べたくなったチキンカレー。

実は当初の目的地であった「カフェ山甌(やまがめ)」でのチキンカレーが評判らしいので、今日は初めからカレーに決めていたのです。

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まあ、カレーは自家製?かレトルトか判断が微妙なところでしたが、今日初めてのちゃんとした食事で、景色や空気も手伝って、とてもおいしくいただきました。これで700円ですから。

お店の方からは別れ際に「あとはもう下っていくだけだから」
と言われて、安心して走り出しましたが、まだまだアップダウンが続きます。

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高江地区の標高は約90mで、東村の町役場がある海辺の平良地区までは実に15kmもあったのです。

そこからまた海抜100m級の山を登り、ついには200m近いヒルクライムの末、東海岸から西海岸へと島を横断して名護市域へと戻るのです。

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これもまた事前のリサーチ不足。 
東村の平良から大宜味村の塩屋湾に抜ける国道331号線ルートだと、実に標高50m程度の”丘越え”で済んだのでしたよ。
でも地図を見た感じこっちの方がショートカットしてそうだったのです。

脚も限界のラストに来て、なぜに今日最高峰の200m越えをしなければいけないのか?と訴えかけます。

新年早々、元旦からの「試練」というやつでしょうか?

準備不足が招いた自業自得というやつかも知れませんが、これを一度も脚を着かずに登り切った気力は今後なにかの自身につながって行くことでしょう。

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やっと東村と名護市の境界が見えてきましたが、坂はまだまだ続いていました...

そしてこの先のピークから西海岸に向けてひたすら下っていくのです。
ああ、お疲れ様でした〜!!

宿まではもう10kmもありません。

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と気を抜いたその瞬間、橋の繋ぎ目の段差を越えた衝撃で、昨年買ったばかりの高価なデジカメSONY DSC-RX100がTOPEAKのフロントバッグから飛び出して落下!!

そして大破したのです。
もう本体は使い物になりませんが、なんとかSDカードは無事回収できました。
SDカードもかなり破損していましたが、無事に撮影データは取り込む事ができたので、こうしてブログを書き留める事ができているわけです。

しかし、ゆえに以降の写真はありません。

そしてなんとか宿に辿り着いたのです。
でも、それほど体は衰弱しきってはいませんでした。
この昨日までの2日間に走った130kmが程よく基礎体力を復活させてくれたのでしょう。


まだ余力があったので、自転車を洗っていると、チェーンステーに取り付けてあったケイデンスセンサーが外れかかっているのを見つけました。

おそらくデジカメが落下した際に大きな衝撃音がしたので、ここに転げ落ちたと推測されます。
あいにくセンサーは結束バンドが切れただけで無事でした。

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それよりも衝撃的なものが目に飛び込んできたのです。
それは、何とキシリウムSLSのリアホイールのきしめんスポークが何本か歪んでいるではないですか!!

そうなのです。デジカメはバッグから落下したあと、チェーンステーとホイールの間に巻き込まれていったのです。

ああ、なんという事でしょう。
まだ買ったばかりのホイールだったのに〜。

デジカメと合わせ新年から大きな出費です。
まあ、このキシリウムSLSは国内正規品を購入していたのが唯一の救いではありました。

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まあ、いろいろありましたが明日沖縄を発ちます。
自転車は今日このあと再び分解して輪行バッグへ収納。明日の午前中に西濃運輸が引取にきます。

ちなみに本日の走行距離は130km。
本当につらい一日でしたが、走りきった達成感はそこそこあります。

あとで調べて分かった事ですが、国内レース最高峰の「ツール・ド・おきなわ」は今回走ったコースに初日に走った半島一周を加え、さらに北部の奥ヤンバルの山岳地帯を2周もするという事がわかり、あ然としています。

ハッキリいって無理、無理。

でも、「2〜3回このルートを練習走行したら、もしかしたら完走できるかも」という淡い考えが一瞬浮かぶのも、今回沖縄で得た成果だったのかも知れません。



「ぶらり、今年の年末年始は初めて沖縄に来てみました」
おしまい。





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この記事へのコメント
はじめまして。静岡の猫山捨吉といいます
たぶんLEGONから迷って
ブロク拝見しました。
正月休みに一気読みしてしまいました。
ピナレロ、スペシャライズド、オルベア
またホイールの話
面白かったです!
Posted by 猫山捨吉 at 2014年01月05日 19:36
猫山捨吉さん
コメントありがとうございます。
これからもよろしくお願いします!!
Posted by 太泉八雲 at 2014年01月19日 08:05
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