
ちょっとORiBikeのネガティブなレポが続きますが、でも重要な事ですので。
ORiBike一番の特徴であると共に、一番の問題点とでもいいましょうか。でも普通に使っている分にはそれほど重要ではありませんし、慣れの問題でもあります。また徐々に改良されていくでしょう。
ネガティブな内容は今回までで、次回からは優れたところをドシドシ紹介していきます。
この自転車は本当に
スゴイですよ。
M9での試乗を重ねて感じたのが、
ブレーキが非常に重い事です。
とにかく重くて、効かない。これは「車両」にとってはかなり問題なことだと思います。スポーツ車であれば直の事。
幸いこのORiBikeはBD-1などに比べるとスポーツ度は低く、”のんびりと走る系”の自転車ですが(思い込み)それでもギア比などを見ると、そこそこの速度は出せます。
男性で「重いな〜」と感じるのですから、女性にはちょっと辛いかも知れません。

では、なぜORiBikeのブレーキがこれほどまでに重いのか。実はブレーキだけでなく変速も重いのです。
これはこのORiBikeのワイヤーの取り回しとその長さによるものなのです。
その前に
スポーツ折り畳み自転車の先駆者でもあるBD-1。初代BD-1では折り畳んだ際にも展開する際にも、フロントやリアの随所でワイヤーが可動部分・分割部分に引っかかる現象が多かったのです。場合によってはアウターの折れやワイヤーの切断もありました。引っかかりを「緩和」する為のフックやバンドなど応急処置的な改良がマイナーチェンジごとに施されてきましたが、根本的な解決にはなっていません。
続いて、フルモデルチェンジしたモノコックBd-1です。ワイヤー類を徹底的にフレーム中に通すようにしました。メンテナンス性は下がりますが、その他苦慮の跡が見える、さまざまな工夫が施されて「改善」の方向に向かっています。
”
「改善」の方向に向かっている”としたのは、まだ完治したわけではないからです。特にリア。本体とチェーンステーの結合部分の出っ張りに、やはりアウターが引っかかる。またボディ本体内を通したワイヤーも、その出入口の処理が甘いので、引っかかって最悪伸ばされます。

ORiBikeはおそらくBd-1のそんなところも徹底的に観察したのでしょう。Bd-1よりも一回りもコンパクトに折り畳めた上に、後々レポートしていきますが、驚くような剛性を持ち高い走行性能を実現。さらに素早い展開をも実現させる為に、一番犠牲となったのがワイヤーの処理だったのでは無いかと思います。
ORiBikeのワイヤー類は特殊です。入手は困難ではありませんが、ロングサイズのワイヤーを必要とします。そしてその長い長いワイヤーが、複雑な変形機構をもったボディ各所を舐めるように、何度も折られながら、しかも引っかからないように端部まで送られていくのです。
おそらくパーツメーカーの推奨取り回し角度を、はるかに超えているのではないでしょうか?

可能なところは出来るだけ直線ルートにしようと苦慮したであろう事も見て取れます。
ワイヤー経路を束ね誘導するフック類がすべて本体に溶接されているのはこだわりですね。
あえてボディ内部を通す事はやめたようです。
様々なモデル展開を考えると美しい外観を崩す「穴」があちこちと開くことになりますから。

最もワイヤーへのストレスが集中するのがリアの分割・可動箇所です。ORiBikeに限らず、折り畳み自転車では、やはりここが一番苦労するところでしょうね。
この「曲芸的」とも言える「V字ターン」、ダブルV字ターンが続きます。これは素人目にも無理があるなと感じます。
ワイヤーアウター内を徹底的にフッ素コーティング&グリスアップで対処するしかありませんね。
ワイヤーが錆びたら一発ですね。
(ちなみにLORO日本橋店では、納車前にワイヤーを全てステンレス製に交換してくれていました。さすが!)

ORiBikeのブレーキはロードレーサーと同じデュアルピボット・キャリパーブレーキです。専用設計のロングアームなので一般的なコンポーネントとは互換製がありませんので、カスタマイズは厳しそうです。
初期のORiBikeでは前後ともこのデュアルピボット・キャリパーブレーキだったのですが、やはり制動の問題が大きかったようで、マイナーチェンジでリアのみミニVブレーキへと換装されました。

このVブレーキはアームが短いので、これまたカスタマイズは厳しそうです。M10に乗った印象でいえば、M9に乗った時よりも遥かに制動が向上しています。レバーの重さは変わりませんが、効きがジワ〜ッと自動車のドイツ車・欧州車を思わせるような効き方です。レースに欠かせない微妙なタッチは無理ですが、確実に止まることはできます。
前後異なるブレーキなのに、ブレーキレバーの左右のタッチはほとんど変わらない点は
お見事!としか言えません。
ちなみに、ミニVブレーキへの換装はリアキャリアの無いモデルだけのようです。構造的な問題でリアキャリア装着車は当面キャリパーブレーキのままのようです。

ORiBike M10のリアディレーラーはシマノの105をおごっています。
この車体価格でこのクラスのコンポーネントをチョイスするとは、本当にお買い得ですね。メーカーも知名度が上がるまでは赤字覚悟の価格設定といっていますので、メジャーになったらBd-1やBrompton並みの価格になっていくのでしょう。
ただ、このコンポーネンツの選択も、やはりワイヤーの長さ問題への対策でもあるような気がします。
もちろん10速である事も理由の一つだとは思いますが、ブレーキ同様にシフト変速(シフトダウン)が非常に重いのです。親指のトレーニング機器になるとさえ思える重さです。さらに変速のジャムりも稀に発生します。

M10のシフターはシマノのフラットバーロード用シフトレバーの最上位、SL-R770を使っています。XTやULTEGRAクラスのパーツです。
おそらくは、少しでも「変速レバーの操作を軽くかつ確実にする」のを向上させるための選択ではないかと思います。シフトアップに限っていえば、もうカチカチ、さすがXTグレードのシフターらしい、素晴らしい変速を行ってくれます。さらに上級パーツのおかげで所有欲も満たされ、諸問題も”愛嬌”として享受できるのかも知れませんね。
最後にORiBikeのボディは本当に頑丈に作られています。見た目以上に剛性がありますし、それはBd-1の比ではありません。まさに乗用車における日本車とドイツ車のそれに似た差があり、そのボディ剛性の高さが"効きにくい制動力"を十分にカバーしうる補完に大きく貢献しているのは明白でした。この剛性の高さは走りにも大きく関わってきます。それはまた後ほど。
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